ヤンキー君とまさかまさかの同居!!?
「そっか。美玲ちゃんはそれでずっと悩んでたんだね」

そう言って井口はわたしの手を握った。


「悩んでない」

悩んでない。

決して。


でも誰かに言えてすっきりしたかも。

「泣かないんだね。美玲ちゃんは。」

「え?」


泣かない?


そう言えばうち泣かないな。


泣いちゃだめだと思ってたんだ。

泣いちゃったらお母さんの病気の事や、お父さんの死。

すべてを認めちゃうことになっちゃう気がして。


「泣いてもいいんだよ」

そう言って井口はうちを抱きしめた。

ゆっくり優しく。


まるで壊れ物を扱うかのように。


なんで、そんなこと言うのよ・・・。


我慢できなくなっちゃうじゃん。

「ふぇっ・・・うっ・・・」


「うん。つらかったね」

そう言いながらわたしの頭を撫でる手にすごく安心した。


「大丈夫?」

そう言ってわたしの顔を覗き込む井口に胸が高鳴ったのはなぜだかわかんないけど。


井口に対する感情が少しだけ確かなものになったのは分かる。


でもこれは、わたしだけの秘密。



      *~End~*
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