顔の知らない大好きな貴方へ
「にしや……ひらく」


私はもう一度彼の名前を呟いた。


すると西谷拓はにかっと笑った。

「おぼえた?」

「うん」

「ほんとに?」

「ほんとだしっ」

忘れるわけないじゃん。珍しい名前

ひらく…ひらく……よし覚えた。

「んじゃ、俺そろそろ帰るわ。」

西谷拓はそういって使いこなしてる黒のスマホを開いて時間を確認した。べつに教室の時計見ればすむのに、なんて思っても言えない。

あれ……待受画面……


一瞬しか見えなかったけど西谷拓の待受画面には女の人のような…誰かの顔がのっていた。



「あーのっ……」


待受画面のこと聞きたかったけど
西谷拓はもう教室から出ていってしまった。
西谷拓はなん組なんだろう?部活は?母校は?



結局なにも聞けなかった。もうちょっと話したかったな。



そう思いながら私もくらい教室をあとにした。




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