顔の知らない大好きな貴方へ

♯4


いつも決まって私は右足から玄関を出る。それが習慣となってきている。


小さいときなんかのおまじないで「右足から玄関を出ればいい事がある」なんて事を聞いてからはなんとなく右足から玄関を出ないと気分が悪い。


よくあるだろう。目玉焼きにいつもしょうゆかけて食べていた人が急に塩かけて食えなんていわれたらちょっと違和感があるだろうし。


いつもは、クールな黒系の服しか着ない子が、いきなりドピンクのワンピースきろなんていわれたって無理がある。


だから私のその「右足」の習慣もなかなか無くならないわけだ。


「いってーきまぁぁす!」


そういって私はオニュウのスニーカーのつま先を地面にトントンとたたきつけ、靴を履いた。おもったよりもきゅうくつでちょっとショックだが、まあ可愛いからよしとしよう。


今日の定食メニューはなんだろう。牛丼かな?カレーかな?うどんかな?


いつも違う日替わりメニューに私は待ちきれないでいる。



《今日も君にとっていい一日であることを祈って》


昨日のブログの事は正直気になってはいたが、学校に向かうときにはほとんど忘れていた。




よし。今日は天気がいい。そして私の気分も快晴。


なんてるんるん鼻歌を歌いながら、道路に落ちてる石ころを蹴ろうと足をうしろにふりかぶりけろうとしたときー・・・・




「―――――っぶない!」



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