顔の知らない大好きな貴方へ
「今すっごくおもしろい映画あるんだ!見に行こうよ!」

雄二はそういうとはやくはやくと手招きしながら自転車にまたがった。

「雄二相変わらずテンションたけーな。」

めんどくさそうに髪の毛をいじりながらもうひとつの自転車にまたがった拓。私は・・えっと。どうすれば?

「おっせーな。のれよ。」

「ひゃっ!!」

私の腰の辺りに拓は手をのばし、ひょいっと私を抱き寄せた。甘い蜂蜜のような香りに酔いそうになりながらも私は拓の後ろにまたがってはなれないようにしっかりと拓の服のすそを掴んだ。ひょえええ。男子の体触るの久しぶり。なんて変な妄想をしてしまう。


「蘭!おちないよーにねー!」

雄二はそう言って優しく笑ってくれるけど・・・

「っしゃぁー蘭、つかまってないと飛ぶぜ?」

グーンと拓は勢いよく自転車をこぎ始める

「きゃあああああああああああ!!!!おちるおちる!ばかばかばか!」


必死に抵抗しようとしたけど自転車がはやすぎて本当に飛ばされそうになる。

「拓いじめんなぁー!!!」


「いーじゃんこいつ、おもしれーし。」


「ばっかじゃないのー?こらぁ!!」


「は?なになに?俺様に口答えかな?もっととばしてやるよばーか」

うう・・・。なんか拓めっちゃ笑ってません?まさか楽しんでる?

もう拓のドドドドドドドドドドドドS!!!!!


「あ、もうすぐつくよ。」


「っしゃああああああああ!」


そういって雄二と拓は夕日に向かって大きくVサインした。




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