顔の知らない大好きな貴方へ
「おっせーよ!!」


雄二はさっきとはまるで別人のように二カット笑って拓の背中をぼんっとたたいた。


「いってーな!」


さっきのは・・なんだったんだろう。聞きたかったけどきけないような、そんな雰囲気だった。


「あ!!!」


「ん?」

「えっと、ほら!あの。みてよ!!」

そういって私は店の外にある可愛い雑貨屋さんを指差した。


「は?なにした?」

「どうしたの?蘭」


二人は不思議そうに私を見る。


「みて!あそこの雑貨屋さんにいる女の子。すっごくきらきらしてる。女子ってさ、怖いイメージあるかもしれない。もちろん怖いときもあるよ?でも、でもそれ以上に楽しい事だってたくさんあるし、みんな優しいし・・・。
雑貨屋さんにいる女の子だって、可愛いアクセとか小物見つけてこんなに喜んでる。自分が可愛くなりたいとか大好きな人に振り向いてもらいたいとかそういうわくわくができるのって女の子のいいとこだとおもうの。
意地悪な女の子だって世の中にはたくさんいる。でもその人のいいとこを見つければみんないい人にみえてくるんじゃないかな?」


ああああああああああああああ。なにひとりでぺらぺらしゃべっちゃってんの?自分生意気すぎる!ばかばかばかああああ!!!恥ずかしくて私は思わず下を向いた。




「ぶっははははは!!!!!」



雄二は壊れた人形のようにけらけらとハラを抱えて笑っている。うっわあああ恥ずかしい。ぜったい調子乗ってると思われた。


「と、といれ!!!!!」



別にトイレに行きたいわけでもないのに、私は逃げるかのようにトイレに駆け込んだ。




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