砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
小さく「ハッ」と聞こえ、衣擦れの音がしてカリム・アリーは引き下がった。
「サクルさま……よろしいのですか? 公務だなんて。何か大事な用があったのでは?」
リーンが腕の中でこちらを見上げている。
「大事? これ以上に大事なことなどあろうはずがない」
「あ……んっ。サクルさま、でも、これは……あぁ」
きつい締め付けが一段落して、サクルもようやく余裕を取り戻した。
「妃を孕ますことは、王として最も重要な公務だ。それ以外のことは臣下に任せておけばよい」
「公務……だからですか? わたしをお抱きになるのは……王としての」
リーンの言葉に悲しみの気配が漂った。
「不満か?」
「いえ、ただ……早く身籠らなければ、あなたを何方かに取られてしまいそうで……」
リーンはどうやらサクルの寵愛を失うことが不安らしい。
「サクルさま……よろしいのですか? 公務だなんて。何か大事な用があったのでは?」
リーンが腕の中でこちらを見上げている。
「大事? これ以上に大事なことなどあろうはずがない」
「あ……んっ。サクルさま、でも、これは……あぁ」
きつい締め付けが一段落して、サクルもようやく余裕を取り戻した。
「妃を孕ますことは、王として最も重要な公務だ。それ以外のことは臣下に任せておけばよい」
「公務……だからですか? わたしをお抱きになるのは……王としての」
リーンの言葉に悲しみの気配が漂った。
「不満か?」
「いえ、ただ……早く身籠らなければ、あなたを何方かに取られてしまいそうで……」
リーンはどうやらサクルの寵愛を失うことが不安らしい。