砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
あのスワイドから感じた禍々しい気配。彼は間違いなく悪魔と与している。

なのに、迂闊にもサクルに愛する姫がいると言われ、愚かな嫉妬心からスワイドの話を聞こうとしてしまった。

そのせいで心の中を読まれ、サクルの名前を知られてしまうなんて。


(正妃でありながら王の命を危険に晒してしまうなんて。わたしのせいで王にもしものことがあったら……)


リーンは身を捩り、不埒な指先の侵入を阻もうとした。

しかし、その指は秘められた場所を丁寧に弄り、しだいにこじ開けていく。

ほんのわずか、頭の後ろから深い息遣いが聞こえた。あらためてこれが現実であることを知り、リーンの身体にゾクゾクと悪寒が走る。

ついには埋もれた花芯を見つけ出し、掘り起こすように指先で抓られ……。


「やあぁーっ! お願い……やめてっ! わたしは……王の妻で、あなたの妹なのにっ!」


全身がカッと熱くなり、リーンは我慢できずに涙を零した。

逃れようとすればするほど指先の動きは激しくなる。それはまさに、この二ヶ月足らずの間、サクルに教え込まれた官能の呼び水のようだった。


「う……くぅ……やぁ」


わずかに腰を浮かされ、前から触れられた。

その行為はサクルの愛撫を思い出させるほど巧みなもので、とてもスワイドの指とは思えないくらいだ。意外なことに、リーンを悦ばせようとしているみたいで……。


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