砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
あのスワイドなら、自分ひとりで快楽に昇りつめるのではないだろうか?

とはいえ、王妃の誇りに懸けて、恥辱の罠に堕ちる訳にはいかない。


(ダメよ……逃げなきゃ。だて、わたしの身体は王のものだから……あの方だけの)


荒々しく胸を揉みしだかれ、リーンの意思に反して、身体が落ちてしまいそうだ。

それでもサクルの名を呼ばずに耐えた。


男の指先が敏感な場所を掠めるように動く。


「ああっ……やぁんんっ」


リーンは悲鳴とも、嬌声とも取れる小さな声を漏らしてしまう。

自分でも信じられない。


(どうして? どうして、こんなふうになってしまうの? やっぱり、わたしの身体は淫乱なの?)


夫以外の男性に肌を許してしまった。

カッハールに触られたときは、気持ち悪さに吐き気すら感じたのに。サクルに幾夜も抱かれ、淫らな女の性に目覚めてしまったのかもしれない。


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