砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
声も聞こえず、姿も見えない男……おそらくは血の繋がった兄の愛撫に感じてしまうなんて。

このことをサクルに知られたら、間違いなく正妃ではいられなくなる。

いや、そうでなくとも、もしこのまま……。


「はぁうっ!」


ふいに指が離れ、リーンがホッと胸を撫で下ろしたとき――同じ場所に、指とは比べ物にならない大きくて硬いモノが添えられた。


「いやっ! それだけはやめて、スワイド王子。もうこれ以上わたしの身体を穢さないで! わたしには王しか……王だけなのです!」


リーンが懸命に首を横に振り、叫んだ瞬間――。

熱い塊は容赦なく差し込まれた。


「いや、いや……いやーーっ!!」


いつの間にか、胸を揉んでいた手がリーンの腰を掴んでいる。

彼女は躰を引き裂かれ、絶望感と共に、屈辱の痛みが全身を襲う。


(これは……何? わたしは……とうとう身体の中まで穢されてしまったの?)


リーンは逃げることもできず、背後から貫かれていた。


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