砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
確かに、リーンとの間に息子が誕生しなければ、サクルはハーレム内に妻を持つことになる。そして、息子が生まれるまで励むことになるだろう。

王に後継者がいないのは致命的だ。

今はいいが、サクルに何かあれば国はあっという間に危機に晒される。再び水脈を奪い合う、砂漠の覇権争いが起こり、隣国の王や砂漠の部族がクアルンの王都めざして攻め入ってくるに違いない。

加えて、サクルの権力を息子が引き継ぐということは、リーンの安全も保障されるということだ。

それがたとえ第二、第三夫人に産ませた息子であったとしても、“シーリーン正妃”の立場は揺るがない。


「ゆっくり身籠ればよい。そうなれば、お前を孕ませるための公務に勤しめる。私はまだ二十五だ。子は十年先でも一向に構わぬ」

「では……少なくとも十年先まで、妻はわたしだけと思ってよろしいですか?」


リーンは下腹部にサクルを飲み込んだまま、愛らしい声で尋ねた。


「言ったであろう。お前だから多少面倒でも妻を迎えた。他に妻はいらん。それに、お前と交わるのは楽しいし心地よい。この中も、唇も私以外の男に許してはならんぞ。お前のすべてが私専用だ」

「はい、サクルさ、ま……あっ……あぁんんっ!」


そのまま絨緞の上にリーンを押し倒した。

脚を開かせ、存分に身体を揺すり、突き上げる。今度は堪えるつもりはない。サクル自身が果てるまで、リーンの躰を味わいつくし、階下にまで届く声で啼かせた。


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