砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
その意味がわかったとき、リーンはふわっと笑みを浮かべる。
そして素早く立ち上がり、「失礼いたします、陛下」そう言ってサクルの膝の上に腰を下ろす。
「きゃっ……あん」
軽く座るはずが、背後からギュッと抱きしめられ……それは、予想以上の密着度だ。
「私を蔑ろにするなら、二度と“愛している”と言ってやらぬぞ」
「……もう、愛してくださらないのですか?」
「いや……」
「陛下の愛を失えば、わたしは二度と笑えません。きっと泣き疲れて、わたし自身がオアシスになってしまうと思います」
サクルの素肌にもたれかかり、リーンは泣きそうな口調で呟いた。
「ああ、わかった! 私の負けだ!」
その大袈裟な口ぶりに、リーンはクスクス笑う。
「リーン、人払いをしてもよいか?」
「まあ、陛下がわたしにお尋ねになるなんて……」
果てしない距離、砂漠の上を渡ってきた熱砂の風が、宮殿の中二階を吹き抜ける。
そこには“狂王”の愛を一身に受ける正妃と、砂漠で無敵を誇る王の姿があった。
~fin~
そして素早く立ち上がり、「失礼いたします、陛下」そう言ってサクルの膝の上に腰を下ろす。
「きゃっ……あん」
軽く座るはずが、背後からギュッと抱きしめられ……それは、予想以上の密着度だ。
「私を蔑ろにするなら、二度と“愛している”と言ってやらぬぞ」
「……もう、愛してくださらないのですか?」
「いや……」
「陛下の愛を失えば、わたしは二度と笑えません。きっと泣き疲れて、わたし自身がオアシスになってしまうと思います」
サクルの素肌にもたれかかり、リーンは泣きそうな口調で呟いた。
「ああ、わかった! 私の負けだ!」
その大袈裟な口ぶりに、リーンはクスクス笑う。
「リーン、人払いをしてもよいか?」
「まあ、陛下がわたしにお尋ねになるなんて……」
果てしない距離、砂漠の上を渡ってきた熱砂の風が、宮殿の中二階を吹き抜ける。
そこには“狂王”の愛を一身に受ける正妃と、砂漠で無敵を誇る王の姿があった。
~fin~