砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
(4)砂漠の掟
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アミーンがその気配を察したのは、湯殿に近い通路を警備していたときだった。
(おかしい。確か、正妃様が使用中だと聞いていたが……どうして警護の者がいないんだ?)
不審に思い彼は周囲を念入りに見回した。
ると、枝が不自然に折れた箇所がある。足元も踏み荒らしたような痕跡があった。
緑を掻き分け進むと、アミーンの足先に固い物が触れた。ラベルのない小瓶だ。そっと匂いを嗅いだ瞬間、アミーンは顔を顰めた。
それはレイラーに飲まされたジュースと同じ匂い。
悪魔の水“果実酒(アラック)”に間違いない。
なぜこのような場所に禁断の飲み物が入っていたと思われる小瓶が落ちているのか。
国王と正妃が滞在しているため、この宮殿の警護は厳重になっていると聞いていた。そこにこのようなものを持ち込めるとは信じがたい。
アミーンが小瓶を掴み、部隊長のもとに戻ろうとしたとき、悪態をつく男の声が聞こえた。彼はその声に聞き覚えがあり、さらに奥へと進む。
ふいに視界が開けた。
そして目に飛び込んできたのが、美しい侍女を襲わんとするかつての主君の息子、スワイドだった。
アミーンがその気配を察したのは、湯殿に近い通路を警備していたときだった。
(おかしい。確か、正妃様が使用中だと聞いていたが……どうして警護の者がいないんだ?)
不審に思い彼は周囲を念入りに見回した。
ると、枝が不自然に折れた箇所がある。足元も踏み荒らしたような痕跡があった。
緑を掻き分け進むと、アミーンの足先に固い物が触れた。ラベルのない小瓶だ。そっと匂いを嗅いだ瞬間、アミーンは顔を顰めた。
それはレイラーに飲まされたジュースと同じ匂い。
悪魔の水“果実酒(アラック)”に間違いない。
なぜこのような場所に禁断の飲み物が入っていたと思われる小瓶が落ちているのか。
国王と正妃が滞在しているため、この宮殿の警護は厳重になっていると聞いていた。そこにこのようなものを持ち込めるとは信じがたい。
アミーンが小瓶を掴み、部隊長のもとに戻ろうとしたとき、悪態をつく男の声が聞こえた。彼はその声に聞き覚えがあり、さらに奥へと進む。
ふいに視界が開けた。
そして目に飛び込んできたのが、美しい侍女を襲わんとするかつての主君の息子、スワイドだった。