砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
彼はおずおずと手を伸ばし、シャーヒーンの口もとを拭う。その手には白い液体がついていた。そして自分の口に持って行き……。


「やっぱり、マズイです……すみません、こんなモノをあなたの口の中に」


その仕草にシャーヒーンの心はどうしようもなく動かされた。

これまで、彼女を気遣ってくれた男などひとりもいなかった。半獣人、化け物に人の心などあるはずがない。そう言われて、何十人もの男がシャーヒーンの身体を玩具にした。

なのに、このアミーンはシャーヒーンを普通の女のようにいたわろうとする。


彼女はもう一度アミーンの下半身に触れた。

一度放出して萎えかかってはいるものの、まだまだ、興奮が冷めた様子ではない。シャーヒーンのしなやかな指に撫でられ、舌先が周囲をなぞった直後、瞬く間に復活を遂げる。

湯殿の床に座り込んだアミーンの上に、彼女はゆっくりとまたがった。


――じっとしていてね。すぐに動いてはダメよ。少し我慢して。


シャーヒーンの瞳で見つめられ、アミーンは彫像のように動かない。


「……シャーヒーンどの……よろしいのですか? 本当に、このようなことをし……てっ」


屹立した熱い高ぶりはスルスルとシャーヒーンの中に飲み込まれていく。今にも暴れだしそうなソレを調教するかのように、力を入れ過ぎず緩やかに締め上げる。


「あっ……はぁぅ……あぁ」


絶妙な動きにアミーンはされるがままだ。

置き場に困った彼の両手を掴まえ、シャーヒーンは自分の腰に置いた。


< 72 / 134 >

この作品をシェア

pagetop