初恋少女の白と黒
「一緒に帰らない？」

帰宅デートの誘いを私は何気なく彼に掛けられた。

告白された日から翌日。お昼を屋上のベンチで一緒に食べている時のことだった。
はしたない食べ方じゃないよね⁈

と、しどろもどろしながら昼食を食べていた為、折角お母さんが作ってくれた弁当は全く喉を通らない。

「いいけど、部活は？」

彼は陸上部に所属していて、帰宅部の私とは帰宅時刻が違う。そのため、帰宅デートの誘いは意外だった。

「今日は休みなんだよ。だから」

一緒に帰ろうと、赤くなりながら私に言う。

「う、うん。分かった一緒に帰ろう。」

私の方まで真っ赤になっちゃったよ…。


「あのさ、呼び方変えないか？」

帰路にあったクレープ屋でクレープを買ってもらい(奢らせてと懇願された)近くの公園のベンチで食べていた時だった。

どうやらこれを言いたくて私を帰宅デートに誘ったらしい。いや、恋人通しなら帰宅デートくらい普通なのかな。

「私は、綾崎のことなんて呼べばいいの？」

「それはやっぱり名前がいいかな。」

凄く恥かしい…。男子を名前で呼ぶことなんて今までほとんど無かったから。大抵の人は苗字を呼ぶ。でも、やっぱり恋人通しなら名前で呼び合いたいのだろう。

「ゆ、遊斗…。」

そういうと彼はとても嬉しそうに微笑んだ。

なんだか私ばかり恥かしい思いをしている気がする。ズルい…。

だから、私は彼のクレープを奪って口いっぱいに頬張った。

「ばふぁ。」

彼はまた微笑み「口に物いれて喋るなよ、由依(ゆい)」とぺしっと私の頭に軽くチョップしてきた。

まったく遺憾だ。
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