①憑き物落とし~『怨炎繋系』~
怨 炎 繋 系

『正体』


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 ――夕浬。


 お前は生きてくれ。


 それが叶うのなら、俺の命にも相応の意味があったってことなんだ。


 この地獄を生き延びて、どうか幸せになってほしい。


 ……悲しいけど、もう一緒にはいられない。


 俺はもう、長くこの場に留まっていることは許されないようだ。


 そろそろ、行くよ。


 いままで、ありがとうな。


 またいつか、輪廻をこえてお前に巡り会えることを。


 今はただ強く信じてるよ。


 それじゃあ、またな。


 さようなら、愛してる――……。





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 優しく囁くその声は、やわらかな風とともに遠くへ去っていく。

 私が目を覚ました時、声の主の存在は、もうそこにはなかった。


 無意識にぽとぽとと、頬を伝っては落ちていく涙を止める術が見つかない。

 もう、それだけで私には全てを理解することができた。

 

 ――何よりも大切な人を失ってしまったのだと。

 私のせいで、彼を死なせてしまったのだと――。
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