愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「俺は去年までそんな生き方をして来たんだ。無理矢理……犯した女は何人もいる。子供を堕ろさせた女も……お前だけじゃない。最初の出逢いも……俺が仕組んで……お前を襲わせて……」
言葉にすることは、拷問にも等しかった。
飲み込んだときは小石だった。だが吐き出そうとする今は、胸が破れそうなほど罪の石は大きく育っている。それは喉につかえ、太一郎は息も絶え絶えだ。
「俺に……謝らないでくれ。頼むから、もっと責めてくれ。殴ってもいい……お前の気の済むように……どうか、どうか」
太一郎は頭を下げ続けた。次第に身体ごと前に倒れそうになる。
だがその瞬間――太一郎はフワリと包み込まれた。
何が起きたのかよくわからない。
それほど、奈那子の行動は予想外のもので、彼女は太一郎をしっかりと抱き締めてくれていた。
「いいえ……わたしにとって、太一郎さまはヒーローでした」
「違うんだ! だからそれは全部嘘で……お前を抱くための」
「あなたに出逢えて、わたしは人を愛することを知ったんです。わたしは幼いころからずっと、両親や祖父母の意思で動く人形でした。そのわたしを救い出してくれたのは……太一郎さまです」
「だから、それは」
「愛している、と言ってくださったでしょう? “わたし”を必要としてくれたのは、太一郎さまだけでした」
「違うんだよ……俺はそんな男じゃない……金の力で罪から逃れて来ただけで」
「わたしは一生信じます! 太一郎さま、どうか自信を持ってください。あなたはわたしに愛をくれて、救ってくださいました。それは……わたしの中で生涯変わらぬ真実です! ですから、どうか……あなたも心のままに」
言葉にすることは、拷問にも等しかった。
飲み込んだときは小石だった。だが吐き出そうとする今は、胸が破れそうなほど罪の石は大きく育っている。それは喉につかえ、太一郎は息も絶え絶えだ。
「俺に……謝らないでくれ。頼むから、もっと責めてくれ。殴ってもいい……お前の気の済むように……どうか、どうか」
太一郎は頭を下げ続けた。次第に身体ごと前に倒れそうになる。
だがその瞬間――太一郎はフワリと包み込まれた。
何が起きたのかよくわからない。
それほど、奈那子の行動は予想外のもので、彼女は太一郎をしっかりと抱き締めてくれていた。
「いいえ……わたしにとって、太一郎さまはヒーローでした」
「違うんだ! だからそれは全部嘘で……お前を抱くための」
「あなたに出逢えて、わたしは人を愛することを知ったんです。わたしは幼いころからずっと、両親や祖父母の意思で動く人形でした。そのわたしを救い出してくれたのは……太一郎さまです」
「だから、それは」
「愛している、と言ってくださったでしょう? “わたし”を必要としてくれたのは、太一郎さまだけでした」
「違うんだよ……俺はそんな男じゃない……金の力で罪から逃れて来ただけで」
「わたしは一生信じます! 太一郎さま、どうか自信を持ってください。あなたはわたしに愛をくれて、救ってくださいました。それは……わたしの中で生涯変わらぬ真実です! ですから、どうか……あなたも心のままに」