愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
太一郎が一歩近寄ると、茜は一歩あとずさる。その瞳は焦点が合っておらず、今にも橋の欄干を乗り越えてしまいそうだ。
「わ、わかった。わかったから、こっちに来いよ。そこは危ねえって……」
「わたし……わ、たし……」
「あの職人がなんかしたんだろ? もう大丈夫だって。俺がどうにかしてやるから。だから、こっちに来い」
「もう……だめ。遅いの……私は」
「人間生きてりゃどっからだって挽回できる!」
そう言うと太一郎は二歩近づいた。
だが、茜は首を振りながら一歩後ろに下がり……。
「無理なの。私……だってもう」
「無理じゃねぇ! 俺がなんとかしてやる」
「でき……ないよ」
「できるか、できないかじゃない! やるか、やらねぇかだ!」
再び太一郎が近づいたとき、茜の腕に触れ……そのままグイッと引き寄せた。
そのときはじめて、太一郎は茜の顔色が尋常でないことに気づいたのだ。
襲われた恐怖などといったレベルではないような気がする。
太一郎がそんなことを考えたとき、茜は彼の胸に縋りついたまま、とんでもない言葉を口にしたのだった。
「ど、うしよう……私……あの男を……ころし……ちゃった」
「……!」
「わ、わかった。わかったから、こっちに来いよ。そこは危ねえって……」
「わたし……わ、たし……」
「あの職人がなんかしたんだろ? もう大丈夫だって。俺がどうにかしてやるから。だから、こっちに来い」
「もう……だめ。遅いの……私は」
「人間生きてりゃどっからだって挽回できる!」
そう言うと太一郎は二歩近づいた。
だが、茜は首を振りながら一歩後ろに下がり……。
「無理なの。私……だってもう」
「無理じゃねぇ! 俺がなんとかしてやる」
「でき……ないよ」
「できるか、できないかじゃない! やるか、やらねぇかだ!」
再び太一郎が近づいたとき、茜の腕に触れ……そのままグイッと引き寄せた。
そのときはじめて、太一郎は茜の顔色が尋常でないことに気づいたのだ。
襲われた恐怖などといったレベルではないような気がする。
太一郎がそんなことを考えたとき、茜は彼の胸に縋りついたまま、とんでもない言葉を口にしたのだった。
「ど、うしよう……私……あの男を……ころし……ちゃった」
「……!」