愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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太一郎に電話を切られてすぐ、茜はもう一度母の携帯に電話をかけた。だが、やはり繋がらず……。
茜は家を出て、店の休憩室で夜を過ごそうと考える。
実は、太一郎には言わなかったが、警察には電話をかけたあとだった。
しかし……。
『じゃあ、お母さんの交際相手なんですね? これまで暴力を振るわれたり、脅迫めいた言葉や暴言を吐かれたこともない。お母さんの許可を得て、家に入られてるわけですし。お酒を飲まれているだけでは、どうしようもないですね。もし、酔って暴れるようなら、もう一度電話してください』
事件性がないと言われてしまったのである。
確かに、客観的に見たら茜の考え過ぎかもしれない。学校の友人にそれらしき話をしたときも、母親を取られた嫉妬じゃないか、と言われた。
茜は溜息を吐くとショートパンツのポケットに店の鍵を入れた。なるべく新田を刺激しないように、リビングはサッと走りぬけよう。そんなことを考え自分の部屋の扉を開ける。
その瞬間――目の前に新田が立っていた。
茜はしばらくの間、息をするのも忘れた。
「よう茜、オレと一緒に飲もうぜ、な?」
これまでとは口調が違う。
新田はその目に宿る下劣な光を隠そうともせず、茜に近づいた。
太一郎に電話を切られてすぐ、茜はもう一度母の携帯に電話をかけた。だが、やはり繋がらず……。
茜は家を出て、店の休憩室で夜を過ごそうと考える。
実は、太一郎には言わなかったが、警察には電話をかけたあとだった。
しかし……。
『じゃあ、お母さんの交際相手なんですね? これまで暴力を振るわれたり、脅迫めいた言葉や暴言を吐かれたこともない。お母さんの許可を得て、家に入られてるわけですし。お酒を飲まれているだけでは、どうしようもないですね。もし、酔って暴れるようなら、もう一度電話してください』
事件性がないと言われてしまったのである。
確かに、客観的に見たら茜の考え過ぎかもしれない。学校の友人にそれらしき話をしたときも、母親を取られた嫉妬じゃないか、と言われた。
茜は溜息を吐くとショートパンツのポケットに店の鍵を入れた。なるべく新田を刺激しないように、リビングはサッと走りぬけよう。そんなことを考え自分の部屋の扉を開ける。
その瞬間――目の前に新田が立っていた。
茜はしばらくの間、息をするのも忘れた。
「よう茜、オレと一緒に飲もうぜ、な?」
これまでとは口調が違う。
新田はその目に宿る下劣な光を隠そうともせず、茜に近づいた。