愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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「すみません。私はこちらに運び込まれた、佐伯茜さんの保護者の代理で……」

「ああっ!? あなた、この病院で刺された人よね? よかったわねぇ、助かって」

「……はあ」


(どうやらこの病院とは、妙に縁があるらしい)


宗はそんなことを考え、苦笑しつつため息をついた。  


先月の小平警察署に続いて、今度は目白警察署からの連絡だった。案の定、太一郎のご指名である。

だが、今度は少々事情が違うようだ。


太一郎は現在、知人男性に対する傷害容疑ということで、警察署に拘束されている。

その太一郎が、自分はあとでいいから話を聞いてフォローしてやってくれ、と頼んで来たのが佐伯茜だった。


宗と茜は当然面識がある。

昨年末、わずかな期間だが藤原邸でメイドをしていたのが茜だ。来春、高校を卒業したら正式採用と宗は聞いていた。


問題は太一郎と茜の関係だろう。

同じく昨年の十二月、太一郎が万里子を襲うきっかけとなった少女が茜のはずだ。彼女は強姦未遂で太一郎を訴えると激昂していた。そんな彼女に、入院中の母親に心配をかけるべきではない、と説得したのが宗である。


疑問だらけの宗が警察署に駆けつけ、聞いた事情は……。


何と、太一郎と茜は恋人関係にあり、ふたりで共謀して、和菓子屋「さえき」で働く職人・新田祐作に暴力を加えた、というもの。

新田は茜の母・佐伯雅美の内縁の夫で、茜は以前から彼に反抗していた。その新田が、太一郎との交際を反対したため、酔った所をふたりで襲ったらしい、と。


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