愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
これはいささかハッキリしない新田が、駆けつけた警察官に話した内容からの推測らしい。
とりあえず、太一郎からも話を聞きたいということになり、おとなしく任意同行に応じたため、今回は逮捕には至らなかった。
「その方なら一応、婦人科で検査を受けてもらっています。そちらに回ってもらえますか?」
婦人科の言葉に嫌な予感を覚える宗だったが……。
「だから、あの男って言ってるでしょ! あの男が私を襲ったのっ! 太一郎に電話して助けに来てもらったんだってば。なんで太一郎を捕まえるのよっ! 警察ってバカなんじゃないの!?」
(これは……大丈夫そうだな)
茜の勢いに安堵し、宗は慌てて彼女に声をかけた。
「佐伯さん、お久しぶりですね。事件に巻き込まれたとか……太一郎様から聞いて」
「宗さんっ! 太一郎よ。私はいいから太一郎を警察から出してっ! コイツら話になんないんだってば! 私を襲ったのは新田なの。新田がウソをついてるのよ。怪我をさせたのは私だけど……それもアイツが変なことさせるから……。とにかく太一郎は無関係なのっ」
茜の向こうで婦人警官が一名と男性警官一名、困ったような顔をしている。
太一郎から聞いた話では、新田を殺したかもしれないと、茜は酷く落ち込んでいたという。
しかし、どうやら新田の怪我が軽傷であることを聞いて、俄然元気になったらしい。出血量が多かったのは飲酒が原因のようだ。
「落ち着いてください。太一郎様は任意で事情を説明するべく、警察に向かわれただけですから」
「新田は外面(そとづら)がいいのよ。でも、太一郎は無愛想だし……警察なんか丸め込まれるに決まってるわっ! 太一郎に迷惑をかける気じゃなかったのよ。ホントに……ただ、私は」
茜は超軽量のソフトサンダルを履いていた。サイズも微妙なようだ。裸足であったというから、おそらく警察の用意したものだろう。
とりあえず、太一郎からも話を聞きたいということになり、おとなしく任意同行に応じたため、今回は逮捕には至らなかった。
「その方なら一応、婦人科で検査を受けてもらっています。そちらに回ってもらえますか?」
婦人科の言葉に嫌な予感を覚える宗だったが……。
「だから、あの男って言ってるでしょ! あの男が私を襲ったのっ! 太一郎に電話して助けに来てもらったんだってば。なんで太一郎を捕まえるのよっ! 警察ってバカなんじゃないの!?」
(これは……大丈夫そうだな)
茜の勢いに安堵し、宗は慌てて彼女に声をかけた。
「佐伯さん、お久しぶりですね。事件に巻き込まれたとか……太一郎様から聞いて」
「宗さんっ! 太一郎よ。私はいいから太一郎を警察から出してっ! コイツら話になんないんだってば! 私を襲ったのは新田なの。新田がウソをついてるのよ。怪我をさせたのは私だけど……それもアイツが変なことさせるから……。とにかく太一郎は無関係なのっ」
茜の向こうで婦人警官が一名と男性警官一名、困ったような顔をしている。
太一郎から聞いた話では、新田を殺したかもしれないと、茜は酷く落ち込んでいたという。
しかし、どうやら新田の怪我が軽傷であることを聞いて、俄然元気になったらしい。出血量が多かったのは飲酒が原因のようだ。
「落ち着いてください。太一郎様は任意で事情を説明するべく、警察に向かわれただけですから」
「新田は外面(そとづら)がいいのよ。でも、太一郎は無愛想だし……警察なんか丸め込まれるに決まってるわっ! 太一郎に迷惑をかける気じゃなかったのよ。ホントに……ただ、私は」
茜は超軽量のソフトサンダルを履いていた。サイズも微妙なようだ。裸足であったというから、おそらく警察の用意したものだろう。