愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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「万里子から聞いた。お前に身重の女がいて、随分厳しい暮らしをしているようだ、とな」
万里子が購入していたベビー用品は、太一郎と奈那子に渡すためのものだった。
藤原邸には贈り物を合わせて、ベビーショップができそうなほど揃っている。
だが、お腹の子供のためにいただいた品物を、そのまま人に上げてしまうのは失礼だから、という万里子の気遣いだった。
この日、万里子はそれを持って、太一郎から聞いた住所を探した。ようやくアパートを見つけて訪ねるが、当然のようにそこには誰もいなかった。
万里子は同じアパートの住人から、奈那子が連れて行かれそうになったことや、太一郎が殴られたことを聞き……。
ふたりの周囲でとんでもないことが起こっていることを察し、後悔した。
『ごめんなさい。太一郎さんが頑張っているから、わたしも応援しようと思ったんです。でも、こんなことになるなら、最初に卓巳さんに相談していたらよかった。太一郎さんや奈那子さんにもしものことがあったら……』
万里子はすぐに卓巳に助けを求めた。
太一郎の行方を捜し、ふたりを助けて欲しい、と。本社ビルを訪れたのだった。
「万里子から聞いた。お前に身重の女がいて、随分厳しい暮らしをしているようだ、とな」
万里子が購入していたベビー用品は、太一郎と奈那子に渡すためのものだった。
藤原邸には贈り物を合わせて、ベビーショップができそうなほど揃っている。
だが、お腹の子供のためにいただいた品物を、そのまま人に上げてしまうのは失礼だから、という万里子の気遣いだった。
この日、万里子はそれを持って、太一郎から聞いた住所を探した。ようやくアパートを見つけて訪ねるが、当然のようにそこには誰もいなかった。
万里子は同じアパートの住人から、奈那子が連れて行かれそうになったことや、太一郎が殴られたことを聞き……。
ふたりの周囲でとんでもないことが起こっていることを察し、後悔した。
『ごめんなさい。太一郎さんが頑張っているから、わたしも応援しようと思ったんです。でも、こんなことになるなら、最初に卓巳さんに相談していたらよかった。太一郎さんや奈那子さんにもしものことがあったら……』
万里子はすぐに卓巳に助けを求めた。
太一郎の行方を捜し、ふたりを助けて欲しい、と。本社ビルを訪れたのだった。