愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「そ、それで……なんで俺がここにいるってわかったんだ?」

「宗の居所を調べたら目白署に行き着いた。お前も一緒だと踏んだんだが、すれ違いだったな。警察に残した現住所も万里子に伝えたアパートだったろう? 仕方なく、携帯のGPS機能を使わせてもらった」


太一郎は卓巳の説明を聞き唖然とする。だが、驚いたのはこれだけではなかった。


「悪い……どうしても行かなきゃならない所があるんだ。話はそのあとで」

「どこに行けばいいのか。お前はわかってるのか?」

「それは……」

「山手の桐生家にも、桐生老の家にも彼女はいないぞ」

「!」

「それから、五反田の泉沢家に戻った形跡もない。おそらくは、清二が女を囲ってるマンションのひとつだろう。港区内との情報は得ている」


万里子に奈那子の姓が桐生だとは言わなかった。

だが卓巳は、泉沢清二のことまで知っている。


太一郎には何を質問したらいいのかもわからず、呆然と立ち尽くすだけだ。


「太一郎、私を誰だと思っている? この程度の情報なら、半日あれば造作ない」


卓巳は上着をはたきつつ、ことも無げに答えた。


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