愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「ハッキリ言ったらどうですか? 二度と太一郎に関わるなって。約束するなら逮捕はさせない――とか。どうせ、そのつもりなんでしょう?」
卓巳は小さく息を吐くと身を屈めて悠里に答えた。
「今回の件は立件されない。悪意のない事実誤認として、事件そのものがなくなる。だから、君が逮捕されることはない」
悠里はハッとした様子で表情を変えた。
そんな彼女に卓巳は言葉を続ける。
「太一郎を恨んでも憎んでもいい。奴のせいで人生が狂ったというなら、軌道を修正するために私も協力しよう。だが、人生を投げるような真似はしないでくれ」
「嘘よ、そんな協力なんて……。だって、永瀬さんは追い出されたって聞いたわ。あの男の更生に邪魔だから、関係のあったメイドは全部理由をつけてクビにされるって」
この悠里の言葉に、卓巳も驚いた。
御し易い太一郎を利用し、万里子を傷つけ、卓巳夫婦の仲を裂こうと企んだのがメイドの永瀬あずさである。その証拠を宗が調べ上げ、一筆書かせて追い出したのだが……。
どうやら、裏で他のメイドたちを煽っていたらしい。
――万里子は卓巳だけでなく、太一郎も、もうひとりの従弟・孝司のことも手玉に取っている。自分も万里子に嫌われたから追い出されたのだ。無実の罪を着せられ、退職金すらもらえなかった、と。
クビになったあと、そんな連絡を悠里らに寄越したらしい。
道理で、若いメイドが次々に辞めて行くはずである。
卓巳は小さく息を吐くと身を屈めて悠里に答えた。
「今回の件は立件されない。悪意のない事実誤認として、事件そのものがなくなる。だから、君が逮捕されることはない」
悠里はハッとした様子で表情を変えた。
そんな彼女に卓巳は言葉を続ける。
「太一郎を恨んでも憎んでもいい。奴のせいで人生が狂ったというなら、軌道を修正するために私も協力しよう。だが、人生を投げるような真似はしないでくれ」
「嘘よ、そんな協力なんて……。だって、永瀬さんは追い出されたって聞いたわ。あの男の更生に邪魔だから、関係のあったメイドは全部理由をつけてクビにされるって」
この悠里の言葉に、卓巳も驚いた。
御し易い太一郎を利用し、万里子を傷つけ、卓巳夫婦の仲を裂こうと企んだのがメイドの永瀬あずさである。その証拠を宗が調べ上げ、一筆書かせて追い出したのだが……。
どうやら、裏で他のメイドたちを煽っていたらしい。
――万里子は卓巳だけでなく、太一郎も、もうひとりの従弟・孝司のことも手玉に取っている。自分も万里子に嫌われたから追い出されたのだ。無実の罪を着せられ、退職金すらもらえなかった、と。
クビになったあと、そんな連絡を悠里らに寄越したらしい。
道理で、若いメイドが次々に辞めて行くはずである。