愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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「呆れた奴だな。私は別に、そういった方向に気を遣ったわけじゃないぞ」
卓巳は心底呆れた口調で太一郎を叱る。だが、苦笑いを浮かべているので、本当に怒っているわけじゃなさそうだ。
あのあと、宗が立川警察署まで卓巳と悠里を迎えに行ってくれた。そして悠里を自宅に送り届け、卓巳と共に大田区の藤原邸まで帰って来たのだった。
ここ数日、宗は太一郎の件で都内の警察を走り回っている。
「まあまあ、突然の入籍でしたのでどうなることかと思いましたが……。ご夫婦の仲がよろしいなら、結構なことじゃありませんか」
台詞の内容だけなら非常に真面目ぶって聞こえるが、宗も笑いを堪えるのに必死だ。
「俺だって別にそんなつもりじゃねぇよ。ただ……なんとなく、そういう雰囲気になって……別に」
太一郎は先刻から、懸命に言い訳をしていた。
だが、元々頭も口も軽快に回る方ではない。青くなったり、赤くなったりしつつ……どう考えても、卓巳と宗に遊ばれている感のある太一郎だった。
ここは藤原本邸のリビングである。
アンティークの調度品が揃えられ、部屋全体がクラシカルに纏められていた。太一郎がこの邸に住んでいたころは、あまり用の無い部屋だった。
奈那子は太一郎の部屋に通され、専門医の診察を受ける。
医者から異常なしと言われホッとしたのだろう、横になった途端、彼女は眠ってしまった。医者からは、タップリの睡眠と休養を取るように、と言われ、今はそっとしている。
「呆れた奴だな。私は別に、そういった方向に気を遣ったわけじゃないぞ」
卓巳は心底呆れた口調で太一郎を叱る。だが、苦笑いを浮かべているので、本当に怒っているわけじゃなさそうだ。
あのあと、宗が立川警察署まで卓巳と悠里を迎えに行ってくれた。そして悠里を自宅に送り届け、卓巳と共に大田区の藤原邸まで帰って来たのだった。
ここ数日、宗は太一郎の件で都内の警察を走り回っている。
「まあまあ、突然の入籍でしたのでどうなることかと思いましたが……。ご夫婦の仲がよろしいなら、結構なことじゃありませんか」
台詞の内容だけなら非常に真面目ぶって聞こえるが、宗も笑いを堪えるのに必死だ。
「俺だって別にそんなつもりじゃねぇよ。ただ……なんとなく、そういう雰囲気になって……別に」
太一郎は先刻から、懸命に言い訳をしていた。
だが、元々頭も口も軽快に回る方ではない。青くなったり、赤くなったりしつつ……どう考えても、卓巳と宗に遊ばれている感のある太一郎だった。
ここは藤原本邸のリビングである。
アンティークの調度品が揃えられ、部屋全体がクラシカルに纏められていた。太一郎がこの邸に住んでいたころは、あまり用の無い部屋だった。
奈那子は太一郎の部屋に通され、専門医の診察を受ける。
医者から異常なしと言われホッとしたのだろう、横になった途端、彼女は眠ってしまった。医者からは、タップリの睡眠と休養を取るように、と言われ、今はそっとしている。