愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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「出産予定日まで十日以上あるのに入院されたって聞いて……びっくりして」
万里子に少し相談があり、奈那子は藤原邸に電話を入れた。すると年配のメイドが出て、万里子が入院した、と言われたのである。
奈那子が大学病院に駆けつけると、万里子は特別室でベビー用のケープを編んでいた。
「三日程、卓巳さんが日本を離れることになったの。もの凄く心配していて……彼のほうが倒れそうなんですもの。少しでも安心してもらおうと思って、入院することにしたのよ。心配させてごめんなさいね」
万里子は苦笑しつつ卓巳の様子を口にする。
そんな彼女の姿に、奈那子はホッと息を吐いたのだった。
万里子のことは羨ましいと思う。でも嫉ましいとか、嫌いだなんてとても思えない。万里子ならきっと、助けを求めればいつでも手を差し伸べてくれるだろう。目が合えば必ず微笑み返してくれる女性なのだ。
愛想笑いしか知らない奈那子にとって、万里子の微笑みはとても眩しく惹かれるものがあった。
「奈那子さんは異常なしだった?」
「はい。最近少し体重が増えてきているから、よく歩くようにって言われました」
「わたしもそうなの。家事をすれば運動になるんだろうけど……。お邸じゃすることがないでしょう? ずっと散歩してたんだけど。ふたりで病院内を探検してみる?」
万里子の言葉にふたりは声を揃えて笑った。
「ねぇ、奈那子さん。何か聞きたいことがあるって言ってなかった? わたしでよかったら」
そんな言葉に奈那子はついつい甘えてしまい、
「あの……万里子さんと卓巳さんはどんなふうにされてるのか……もしよければ教えていただきたくて……」
「出産予定日まで十日以上あるのに入院されたって聞いて……びっくりして」
万里子に少し相談があり、奈那子は藤原邸に電話を入れた。すると年配のメイドが出て、万里子が入院した、と言われたのである。
奈那子が大学病院に駆けつけると、万里子は特別室でベビー用のケープを編んでいた。
「三日程、卓巳さんが日本を離れることになったの。もの凄く心配していて……彼のほうが倒れそうなんですもの。少しでも安心してもらおうと思って、入院することにしたのよ。心配させてごめんなさいね」
万里子は苦笑しつつ卓巳の様子を口にする。
そんな彼女の姿に、奈那子はホッと息を吐いたのだった。
万里子のことは羨ましいと思う。でも嫉ましいとか、嫌いだなんてとても思えない。万里子ならきっと、助けを求めればいつでも手を差し伸べてくれるだろう。目が合えば必ず微笑み返してくれる女性なのだ。
愛想笑いしか知らない奈那子にとって、万里子の微笑みはとても眩しく惹かれるものがあった。
「奈那子さんは異常なしだった?」
「はい。最近少し体重が増えてきているから、よく歩くようにって言われました」
「わたしもそうなの。家事をすれば運動になるんだろうけど……。お邸じゃすることがないでしょう? ずっと散歩してたんだけど。ふたりで病院内を探検してみる?」
万里子の言葉にふたりは声を揃えて笑った。
「ねぇ、奈那子さん。何か聞きたいことがあるって言ってなかった? わたしでよかったら」
そんな言葉に奈那子はついつい甘えてしまい、
「あの……万里子さんと卓巳さんはどんなふうにされてるのか……もしよければ教えていただきたくて……」