愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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『……って言ったら、きっと撫でてくれると思うの。それだけで、その気になってくれたらいいんだけど……太一郎さんは卓巳さんと一緒で鈍いから、無理かもしれないわね』


奈那子の相談に万里子はそう答えた。

自分が楽しみたいとか、欲求不満とかではないのだ。

ただ、愛する人に求めて欲しい。そして、彼女の身体で満足して欲しいのである。


奈那子自身はやはりお腹の子供が気になるので、気持ちいいとは思えないかもしれない。

それでも、


『抱き締めて眠ってくれるだけでいいんです。同じベッドで寝てくれないのも不安で』


太一郎は手や足が当たったら怖い、と言ってダブルベッドに奈那子ひとりで寝かせるのだ。これまではずっと布団だったので仕方なかったけれど、さすがに奈那子も気になる。


『太一郎さんて、意外と消極的な人だったのね。リムジンの中であんなことしてるから、もっと大胆なのかと思ったのに』

『あ、あれは……ああいうときもあるんです。その……突然、キスしてきて……でも、そこから先には全然』


そこまで言って、万里子が誤解したんじゃないかと思い、奈那子は慌てて付け足した。


『以前はそんなことなかったんですよ。去年は本当に……その、顔さえ見たらすぐに……シャワーも浴びさせてくれなくて。もの凄く力強くて……怖いくらい大きくて』

『やだっ! もう、奈那子さんたら』


万里子にそう突っ込まれ、自分がとんでもないことを言ってるのに気が付いた。


『そ、そういう意味じゃ。本当に大きいのかどうかは……あ、いえ小さいことはないと思うんですけど』

『卓巳さんもそうだと思うの。だから、きっと家系なのよ!』

『あ……そうなんですか?』

『ええ、たぶん』


あとから思えば、夫が聞いたら卒倒しそうな話題に、妊婦ふたりは花を咲かせたのだった。


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