愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
この体勢なら、子供に嫌われるんじゃないか、という意味不明の羞恥心からは逃れられる。


「ご、ごめん。ホント、ヤル気は満々なんだ。このとおり……。でも挿入は怖いんだ。情けねぇけど」

「いいえ、太一郎さんがわたしの身体で感じてくだされば、それだけでいいんです。必要とされてる。妻でいていいんだ、って思えるから」

「奈那子……」


太一郎にとって、奈那子に頼られることが存在価値だった。

それと同じように、奈那子は女性として求められることで、自分の価値を見出そうとしていたのだ。

そのことを知った太一郎は、彼女の半乾きの髪に頬を寄せ、包み込むように抱き締めた。


「すっげぇ気持ちいい」

「わたしも……温かくて気持ちいいです」

「俺、ベッドに寝ても平気かな?」

「そのほうが、わたしは安心して眠れます」


少しだけベッドが軋み、男の荒い息が終着点を迎える。



「なあ…………明日もしていいか?」

「はい」



ふたりで過ごす優しい夜――永遠に続く明日を、このときの彼らは信じていたのだった。 


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