愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
警備員たちは、桐生の名前と太一郎たちの様子に、追い払うかどうか態度を決めかねている。
だが太一郎は、小刻みに震える奈那子をこれ以上見ていられなかった。
無言のまま桐生の襟首を掴み、馬鹿力を発揮してエレベーターまで引き摺って行く。
「娘じゃないと……産まれる前にわかってたら……お前なんか殺してたんだ!」
エレベーターが開く寸前、桐生はそう叫んだ。
太一郎はそんな桐生をエレベーターの中に叩き込む。
「俺は貴様の首を絞めてやりてぇ……奈那子と子供がいなけりゃ、絶対に殺(や)ってる」
操作盤の横を拳で殴りながら、太一郎は唸った。
そんな太一郎の背後から、ふたりの警備員が走り寄る。彼らは慌ててエレベーターに乗り込み、桐生を両側から挟むように押さえ込んだ。
「こいつを外に叩き出せ! 病院内立ち入り禁止だ。卓巳が出したブラックリストのトップに、この男の名前を載せるんだ!」
太一郎は警備員を怒鳴りつけた。どうにも、怒りのやり場がない。
閉まりかける扉の隙間から、狂ったような笑い声が聞こえた。
誰に言いたいのか、「ざまぁみろ!」と叫び続ける桐生だった。
だが太一郎は、小刻みに震える奈那子をこれ以上見ていられなかった。
無言のまま桐生の襟首を掴み、馬鹿力を発揮してエレベーターまで引き摺って行く。
「娘じゃないと……産まれる前にわかってたら……お前なんか殺してたんだ!」
エレベーターが開く寸前、桐生はそう叫んだ。
太一郎はそんな桐生をエレベーターの中に叩き込む。
「俺は貴様の首を絞めてやりてぇ……奈那子と子供がいなけりゃ、絶対に殺(や)ってる」
操作盤の横を拳で殴りながら、太一郎は唸った。
そんな太一郎の背後から、ふたりの警備員が走り寄る。彼らは慌ててエレベーターに乗り込み、桐生を両側から挟むように押さえ込んだ。
「こいつを外に叩き出せ! 病院内立ち入り禁止だ。卓巳が出したブラックリストのトップに、この男の名前を載せるんだ!」
太一郎は警備員を怒鳴りつけた。どうにも、怒りのやり場がない。
閉まりかける扉の隙間から、狂ったような笑い声が聞こえた。
誰に言いたいのか、「ざまぁみろ!」と叫び続ける桐生だった。