愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「あの……奈那子さんは? 母子ともに問題ないんですよね?」
「心配は要らない。緊急帝王切開になり、出血が多くて輸血したためにすぐには動けないが……。太一郎も彼女を案じて、ずっと傍にいる。君の体調が安定して、向こうも落ちついたら見舞ってやるといい」
卓巳はそう言うと、何もなかったかのように息子に歩み寄った。
「結人(ゆうと)、パパだよ。今日は逢えないかと思ったが、ラッキーだったな」
ニコニコ笑いながら息子の頬に触れる。
「ゆうと?」
「人はひとりでも生きていける、だが幸福にはなれない。幸せの大きさと同じだけ、大きな苦しみや悲しみ、別れも経験するかもしれない。だが、人には人が必要なんだ。この子には人と人を結ぶ架け橋になって欲しい。だから……結人と名付けた。駄目かな?」
お姫様を唱えながら、おそらく、数ヶ月は悩んで決めた名前だろう。
万里子はそれを口にせず「駄目じゃないわ。とっても素敵」そう小さく呟いた。
「みんなを幸福の糸で結んでくれる。わたしはそう信じています」
卓巳の嘘に気づきながら、精一杯の微笑みを返す万里子だった。
「心配は要らない。緊急帝王切開になり、出血が多くて輸血したためにすぐには動けないが……。太一郎も彼女を案じて、ずっと傍にいる。君の体調が安定して、向こうも落ちついたら見舞ってやるといい」
卓巳はそう言うと、何もなかったかのように息子に歩み寄った。
「結人(ゆうと)、パパだよ。今日は逢えないかと思ったが、ラッキーだったな」
ニコニコ笑いながら息子の頬に触れる。
「ゆうと?」
「人はひとりでも生きていける、だが幸福にはなれない。幸せの大きさと同じだけ、大きな苦しみや悲しみ、別れも経験するかもしれない。だが、人には人が必要なんだ。この子には人と人を結ぶ架け橋になって欲しい。だから……結人と名付けた。駄目かな?」
お姫様を唱えながら、おそらく、数ヶ月は悩んで決めた名前だろう。
万里子はそれを口にせず「駄目じゃないわ。とっても素敵」そう小さく呟いた。
「みんなを幸福の糸で結んでくれる。わたしはそう信じています」
卓巳の嘘に気づきながら、精一杯の微笑みを返す万里子だった。