愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
合併症に苦しみながらも、奈那子は危険な状態を乗り越えた。
美月を思い切り抱き締めたい。もう一度、太一郎と一緒に暮らしたい。その一念だった。
もちろん、まだ完全によくなったわけではない。そんな奈那子は、太一郎にひとつの願い事をする。
『将来、美月に見せるために、結婚式の写真を撮りたいの』
退院してからでも、と太一郎はそう思ったが、
「いいぜ。じゃあ、せめて外に出られるくらい元気になったら、病院で写真を撮らせてもらえるように頼んでやるよ」
奈那子の気持ちが上向くなら、と笑って応じたのが一ヶ月前のことだった。
純白のドレスは奈那子のイメージそのものだ。
どんな色にも染まるように見えて、その主張を失わない。清楚で儚い色であった。
太一郎と美月を見るなり、花嫁は蕩けるような微笑を浮かべる。
「太一郎さん……とっても素敵です」
「そ、そうか? なんかペンギンみたいに見えないか?」
一生着ることはない、と思っていたフロックコートだ。初めて巻いたアスコットタイが、かなり恥ずかしい。
「いいえ。ねぇ、美月ちゃん、パパはとってもカッコいいわよね」
奈那子は手を伸ばし、美月を一度膝の上に乗せてから抱き締めた。
美月を思い切り抱き締めたい。もう一度、太一郎と一緒に暮らしたい。その一念だった。
もちろん、まだ完全によくなったわけではない。そんな奈那子は、太一郎にひとつの願い事をする。
『将来、美月に見せるために、結婚式の写真を撮りたいの』
退院してからでも、と太一郎はそう思ったが、
「いいぜ。じゃあ、せめて外に出られるくらい元気になったら、病院で写真を撮らせてもらえるように頼んでやるよ」
奈那子の気持ちが上向くなら、と笑って応じたのが一ヶ月前のことだった。
純白のドレスは奈那子のイメージそのものだ。
どんな色にも染まるように見えて、その主張を失わない。清楚で儚い色であった。
太一郎と美月を見るなり、花嫁は蕩けるような微笑を浮かべる。
「太一郎さん……とっても素敵です」
「そ、そうか? なんかペンギンみたいに見えないか?」
一生着ることはない、と思っていたフロックコートだ。初めて巻いたアスコットタイが、かなり恥ずかしい。
「いいえ。ねぇ、美月ちゃん、パパはとってもカッコいいわよね」
奈那子は手を伸ばし、美月を一度膝の上に乗せてから抱き締めた。