愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
いよいよ式が始まると聞き、皐月も車椅子で表に出て来た。
朽ちかけた器に、曾孫たちは命の泣き声を注ぎ込む。そのおかげだろうか、皐月は目覚しい回復ぶりをみせていた。
三月の陽射しを受け、中庭の木々が少しだけ煌いた。
芝も真冬とは色合いが違う。すべてが命の証だ。
生きていてよかった。どうせ償える罪ではないから、と諦めなくてよかった。そんな想いが込み上げ、車椅子を押す手が微かに震える。
「太一郎さん……わたしと美月を、助けてくれてありがとう」
太一郎はこの日“本物のヒーロー”になった。
~fin~
朽ちかけた器に、曾孫たちは命の泣き声を注ぎ込む。そのおかげだろうか、皐月は目覚しい回復ぶりをみせていた。
三月の陽射しを受け、中庭の木々が少しだけ煌いた。
芝も真冬とは色合いが違う。すべてが命の証だ。
生きていてよかった。どうせ償える罪ではないから、と諦めなくてよかった。そんな想いが込み上げ、車椅子を押す手が微かに震える。
「太一郎さん……わたしと美月を、助けてくれてありがとう」
太一郎はこの日“本物のヒーロー”になった。
~fin~