愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「そう……そうよ。合成よ。あたし、こんなことしてないもの。お願い信じて……ね、あなた」
直後、扉が開いた。
「ゴメンね、郁美ちゃん。オレたちもうおしまいにしたいんだ。だから、オヤジに話しちゃったんだよ」
ヘラヘラ笑いながら入ってきたのは等である。
「実はさ、オヤジの会社の子と付き合ってたんだ。二十二歳で可愛くて、オレが初めてとか言ってさ。そしたら、できちゃって……だから郁美ちゃんとは結婚できないから。ホント、ゴメンねぇ」
等は薄くなった髪をかき上げながら、誤解の極みとも言うべき発言をする。
元々、この等は金づる以外の何者でもない。
名村産業の事務員が、社長の馬鹿息子を引っかけようとしていたのは知っている。あの娘なら、初めてどころかヤリマンもいいところだ。妊娠が事実でも、父親が誰かわかったものではない。
それを……郁美が、さも等に夢中だった口ぶりに、
「馬鹿言ってんじゃないよっ! あんたに満足したことなんて一度だってないんだよ! この、皮のかぶった短小早漏野郎が! こっちは我慢して相手を」
ハッとするがあとの祭りだ。
等はピクピク小刻みに痙攣していた。
「あ……違うの。あの」
なんとか言い訳しようとした郁美の前に、名村は数字がコピーされた紙を差し出した。
直後、扉が開いた。
「ゴメンね、郁美ちゃん。オレたちもうおしまいにしたいんだ。だから、オヤジに話しちゃったんだよ」
ヘラヘラ笑いながら入ってきたのは等である。
「実はさ、オヤジの会社の子と付き合ってたんだ。二十二歳で可愛くて、オレが初めてとか言ってさ。そしたら、できちゃって……だから郁美ちゃんとは結婚できないから。ホント、ゴメンねぇ」
等は薄くなった髪をかき上げながら、誤解の極みとも言うべき発言をする。
元々、この等は金づる以外の何者でもない。
名村産業の事務員が、社長の馬鹿息子を引っかけようとしていたのは知っている。あの娘なら、初めてどころかヤリマンもいいところだ。妊娠が事実でも、父親が誰かわかったものではない。
それを……郁美が、さも等に夢中だった口ぶりに、
「馬鹿言ってんじゃないよっ! あんたに満足したことなんて一度だってないんだよ! この、皮のかぶった短小早漏野郎が! こっちは我慢して相手を」
ハッとするがあとの祭りだ。
等はピクピク小刻みに痙攣していた。
「あ……違うの。あの」
なんとか言い訳しようとした郁美の前に、名村は数字がコピーされた紙を差し出した。