愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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(偉そうなことを言って、所詮は金持ちのボンボン社長ね!)
郁美は名村家を出た翌日、小切手に書かれた銀行に出向いた。
VIPルームに通され、現れた支店長は面白いくらい頭を下げる。出て来た紅茶はトワイニングのアールグレイ。パックの紅茶でないのが素晴らしい。
迂闊に人を信用するもんじゃないわ。
この分なら、大臣の息子の一件や、藤原の社長が大立ち回りをやらかしたことなど、週刊誌に売ったら幾らになるか……。
郁美はあまりの可笑しさに頬が自然と緩んでくる。
そのときだ。
いきなり扉が開き、十数人のスーツ姿の男がズカズカと入って来た。
「ちょっと……何なの、あんたたち!」
「白川郁美だな。この小切手は盗難届が出ている。これが、裁判所の逮捕状だ。一緒に来てもらうぞ」
郁美は旧姓で呼ばれ、真っ青になった。
「違うわ! これはあたしが藤原社長からもらったものよ。嘘じゃないの! 本当よ! あたしは盗んでないのよぉーーーっ」
(偉そうなことを言って、所詮は金持ちのボンボン社長ね!)
郁美は名村家を出た翌日、小切手に書かれた銀行に出向いた。
VIPルームに通され、現れた支店長は面白いくらい頭を下げる。出て来た紅茶はトワイニングのアールグレイ。パックの紅茶でないのが素晴らしい。
迂闊に人を信用するもんじゃないわ。
この分なら、大臣の息子の一件や、藤原の社長が大立ち回りをやらかしたことなど、週刊誌に売ったら幾らになるか……。
郁美はあまりの可笑しさに頬が自然と緩んでくる。
そのときだ。
いきなり扉が開き、十数人のスーツ姿の男がズカズカと入って来た。
「ちょっと……何なの、あんたたち!」
「白川郁美だな。この小切手は盗難届が出ている。これが、裁判所の逮捕状だ。一緒に来てもらうぞ」
郁美は旧姓で呼ばれ、真っ青になった。
「違うわ! これはあたしが藤原社長からもらったものよ。嘘じゃないの! 本当よ! あたしは盗んでないのよぉーーーっ」