愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
ゆっくり、種火に息を吹きかけるように、そうっと……女の指が足の付け根を往復する。
やたら身体を密着させ、吐息混じりに耳元でささやき、太一郎の目を自分に向けさせようとする。直接刺激に弱い、男の急所を突いた見事な攻撃だった。
「いい子にしててちょうだいね。そうしたら、あたしがオクチで抜いてあげるわ。その代わり、続きは今夜……たっぷり楽しませてくれるわよね?」
「あの……なぁ。二十代の男にそんな真似したら、そりゃ誰だって勃つさ。でも俺は、あんたは抱かない」
少し砕けた太一郎の言葉に、抗い切れない男の欲望を感じたのだろう。
郁美は喉の奥で含み笑いをしつつ、十歳近く年下の太一郎を子ども扱いした。
「随分カッコつけちゃってるけど……あなたって、W大の有名人だったそうじゃない? “バージンキラー”に“レイプマン”なんて、ふざけた呼び名に笑っちゃったわ。あたしの締め付けは、あなたの大好きなバージン並よ。仲よくしましょうよ。どうせ、同じ穴のムジナじゃない」
「違うっ!」
太一郎の胸がカッと燃えるように痛んだ。
「俺はあんたとは違う。――約束したんだ。人生をやり直すって、二度と馬鹿な真似はしないって。俺は……俺はもう二度と本気で惚れた女以外は抱かない!」
太一郎の胸に浮かんだのは万里子のことだった。
万里子は彼にとって神様にも等しい女性だ。愛や恋で語れるレベルではない。
そんな彼女の信頼に誓ったのである。愛して欲しければ自分から愛する、信じて欲しければ自分も相手を信じよう、と。
だからこそ、一度口にした「誰にも言わない」という約束を、保身のために破ることは太一郎にはできなかった。
やたら身体を密着させ、吐息混じりに耳元でささやき、太一郎の目を自分に向けさせようとする。直接刺激に弱い、男の急所を突いた見事な攻撃だった。
「いい子にしててちょうだいね。そうしたら、あたしがオクチで抜いてあげるわ。その代わり、続きは今夜……たっぷり楽しませてくれるわよね?」
「あの……なぁ。二十代の男にそんな真似したら、そりゃ誰だって勃つさ。でも俺は、あんたは抱かない」
少し砕けた太一郎の言葉に、抗い切れない男の欲望を感じたのだろう。
郁美は喉の奥で含み笑いをしつつ、十歳近く年下の太一郎を子ども扱いした。
「随分カッコつけちゃってるけど……あなたって、W大の有名人だったそうじゃない? “バージンキラー”に“レイプマン”なんて、ふざけた呼び名に笑っちゃったわ。あたしの締め付けは、あなたの大好きなバージン並よ。仲よくしましょうよ。どうせ、同じ穴のムジナじゃない」
「違うっ!」
太一郎の胸がカッと燃えるように痛んだ。
「俺はあんたとは違う。――約束したんだ。人生をやり直すって、二度と馬鹿な真似はしないって。俺は……俺はもう二度と本気で惚れた女以外は抱かない!」
太一郎の胸に浮かんだのは万里子のことだった。
万里子は彼にとって神様にも等しい女性だ。愛や恋で語れるレベルではない。
そんな彼女の信頼に誓ったのである。愛して欲しければ自分から愛する、信じて欲しければ自分も相手を信じよう、と。
だからこそ、一度口にした「誰にも言わない」という約束を、保身のために破ることは太一郎にはできなかった。