愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「言うこと聞かねぇと、ただじゃ済ませねぇぞ」

「え? 怒ったんですか? 太一郎さん」


奈那子は途端に不安そうになり、太一郎を見上げて言う。

そのとき、太一郎は彼女をいきなりすくい上げ、横抱きにしたのだ。


「きゃ!」

「お前ごと抱えて運ぶ。」

「……あの、あの、重いです。赤ちゃんの分も重くなってて」

「羽みたいなもんだ。もっとちゃんと食えよ。今度から、夜は一緒にいてやれるから……俺みたいな男でも、いないよりマシだろ?」


奈那子は目を潤ませながら、太一郎に抱きつき、


「太一郎さんがいて下さったら……もう、何も要りません」


そう言うと、ギュッと細い腕に力を籠めたのだった。



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