愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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千早物産の本社は中央区にある。
藤原グループの本社ビルには比べるべくもないが、六階建ての自社ビルを持つ立派な会社だ。
主に外食産業を対象とした業務用食品の研究・開発から、独自の物流システムを駆使して出荷までを行う。全国に三十二の支店と五十の営業物流拠点を持つ、健全経営の中堅企業だ。
藤原との業務提携は、万里子と卓巳の結婚以前からである。しかし、ごく自然にラインが強化され、関連各社の千早物産に対する評価は上向きだった。
他に手立てなどひとつも残されてはいない。
万里子の言葉を信じ、太一郎は千早物産本社ビルを訪れた。六階の社長室に通され、待つこと十数分。茶色のスーツに身を包んだ、万里子の父・千早隆太郎が姿を現す。
その視線は非常に険しく、値踏みするかのように太一郎を上から下まで繰り返し見ている。
「君が、伊勢崎太一郎くんかね?」
「……はい」
千早物産の本社は中央区にある。
藤原グループの本社ビルには比べるべくもないが、六階建ての自社ビルを持つ立派な会社だ。
主に外食産業を対象とした業務用食品の研究・開発から、独自の物流システムを駆使して出荷までを行う。全国に三十二の支店と五十の営業物流拠点を持つ、健全経営の中堅企業だ。
藤原との業務提携は、万里子と卓巳の結婚以前からである。しかし、ごく自然にラインが強化され、関連各社の千早物産に対する評価は上向きだった。
他に手立てなどひとつも残されてはいない。
万里子の言葉を信じ、太一郎は千早物産本社ビルを訪れた。六階の社長室に通され、待つこと十数分。茶色のスーツに身を包んだ、万里子の父・千早隆太郎が姿を現す。
その視線は非常に険しく、値踏みするかのように太一郎を上から下まで繰り返し見ている。
「君が、伊勢崎太一郎くんかね?」
「……はい」