愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
太一郎は深呼吸をひとつし、覚悟を決めた。


「茜……目を瞑れ」

「え? あ、あのっ」

「いいから。俺が好きなら言うとおりにしろよ」


茜は言われたまま目をギュッと閉じる。

太一郎が片膝をベッドについたとき、ベッドは傾き、スプリングが軋んだ。そのまま、太一郎は茜の身体をすくい上げるように抱きかかえた。


「キャッ!」


茜は小さく悲鳴を上げる。


「病院まで抱いて行ってやるから……暴れるな」

「ヤダッ、下ろして! 下ろしてってば」


茜の抗議を無視して、太一郎は部屋の出入り口に向かって歩く。


「違うの……されてないからっ! レイプされてないから下ろして」

「……!」


太一郎はビックリして茜を床の上にゆっくりと下ろしたのだった。


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