愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
怒鳴られるかと思い、茜は途切れ途切れ、どうにか声を出した。
でも太一郎は違った。彼は壁にもたれて大きく息を吐いた。両手を膝につき、心から安堵したような表情である。
「ごめん、ごめん太一郎……あの」
「よかった。ほんっとーによかった。ホントに」
そう言った太一郎の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。
茜は後ろめたさに、その場から逃げ出したい心境に駆られた。
「面白くねーの。センパイ、えらく腰抜けになったもんですね」
入り口のドアが開き、入ってきたのは北脇だ。
その北脇を見た瞬間、太一郎は飛びかかった。胸倉を掴み、今にも殴りそうだ。
「いいぜ、殴っても。ホラホラ、殴れよ」
「隠しカメラか? どっから撮ってんだよ。確か……ココはお前のダチの実家だったよな」
北脇の表情が変わったのはそのときだ。
「知ってたのか?」
「思い出したんだ。俺が茜に手を出すのを、カメラ越しに見てたわけか? それをネタに俺を脅すか。それとも、思い切ってマスコミに売るつもりか? そのために茜を巻き込むなんて」
「巻き込む?」
北脇の声のトーンが微妙に変わった。
でも太一郎は違った。彼は壁にもたれて大きく息を吐いた。両手を膝につき、心から安堵したような表情である。
「ごめん、ごめん太一郎……あの」
「よかった。ほんっとーによかった。ホントに」
そう言った太一郎の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。
茜は後ろめたさに、その場から逃げ出したい心境に駆られた。
「面白くねーの。センパイ、えらく腰抜けになったもんですね」
入り口のドアが開き、入ってきたのは北脇だ。
その北脇を見た瞬間、太一郎は飛びかかった。胸倉を掴み、今にも殴りそうだ。
「いいぜ、殴っても。ホラホラ、殴れよ」
「隠しカメラか? どっから撮ってんだよ。確か……ココはお前のダチの実家だったよな」
北脇の表情が変わったのはそのときだ。
「知ってたのか?」
「思い出したんだ。俺が茜に手を出すのを、カメラ越しに見てたわけか? それをネタに俺を脅すか。それとも、思い切ってマスコミに売るつもりか? そのために茜を巻き込むなんて」
「巻き込む?」
北脇の声のトーンが微妙に変わった。