愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
茜の心臓もドキンとする。
太一郎は茜が巻き込まれたと思っているのだ。自分のせいで襲われて、でもレイプはされなかったと聞いて、ホッとしている。
もし、SOSの電話そのものが嘘だと知ったら、太一郎は茜をどう思うだろう?
「なんだ、茜ちゃん。ホントのことは言えなかったんだぁ」
「やめてっ!」
「俺にレイプされたって泣きついたら、女房面して居座ってる女から奪えるかも、って言ってたよね?」
「違う! そんなこと言ってないっ! 私はただ……ただ……」
北脇は太一郎の隙を突いて拘束から逃れた。
そして止める間もなく、太一郎を呼び出すために吐いた茜の嘘を、ペラペラと話して聞かせたのだ。
茜にはもう、太一郎の顔を見ることもできない。きっと軽蔑しているだろう。
ただ……ただ茜は、魂まで入れ替わったような太一郎に魅せられただけだ。そんな太一郎の傍にいて、自分も変わって行きたいと思っただけだた。
なのに、いきなり決まった女性がいると聞かされ……。
茜は悔しかったのだ。太一郎のよさに、自分より先に気づいた女性がいることに。
だが、それは郁美にも責任があった。茜が消そうと必死になった恋の炎を、彼女が横から煽ぎ立てたのだから。
「ホント、馬鹿なガキだよな……」
北脇がそう言った瞬間、今度は襟首を掴まれて壁に叩き付けられた。
太一郎は茜が巻き込まれたと思っているのだ。自分のせいで襲われて、でもレイプはされなかったと聞いて、ホッとしている。
もし、SOSの電話そのものが嘘だと知ったら、太一郎は茜をどう思うだろう?
「なんだ、茜ちゃん。ホントのことは言えなかったんだぁ」
「やめてっ!」
「俺にレイプされたって泣きついたら、女房面して居座ってる女から奪えるかも、って言ってたよね?」
「違う! そんなこと言ってないっ! 私はただ……ただ……」
北脇は太一郎の隙を突いて拘束から逃れた。
そして止める間もなく、太一郎を呼び出すために吐いた茜の嘘を、ペラペラと話して聞かせたのだ。
茜にはもう、太一郎の顔を見ることもできない。きっと軽蔑しているだろう。
ただ……ただ茜は、魂まで入れ替わったような太一郎に魅せられただけだ。そんな太一郎の傍にいて、自分も変わって行きたいと思っただけだた。
なのに、いきなり決まった女性がいると聞かされ……。
茜は悔しかったのだ。太一郎のよさに、自分より先に気づいた女性がいることに。
だが、それは郁美にも責任があった。茜が消そうと必死になった恋の炎を、彼女が横から煽ぎ立てたのだから。
「ホント、馬鹿なガキだよな……」
北脇がそう言った瞬間、今度は襟首を掴まれて壁に叩き付けられた。