愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
太一郎が北脇を締め上げている。
「馬鹿なガキはお前だろうが、北脇」
「なんだと? 一発でも殴ってみろよ、すぐに警察に駆け込んで」
「自首でもすんのか?」
「何?」
「お前が茜の携帯にかけた電話、全部録音してたらどうなると思う? 茜が警察に行き、お前にレイプされそうになったと訴えたら?」
「そ、そんなこと……その女も承知で……第一、お前の過去を俺が警察で話したら……」
北脇の声が震え始めたとき、太一郎は肘で彼の喉元をグッと押さえた。
「いいぜ。俺にはもう失くすものはねぇんだ。裁判沙汰やマスコミの餌食になった所で、トイレ掃除の仕事くらいはできるさ。ムショで働くのもそう変わんねぇだろ。お前も仲よく一緒に堕ちようぜ。なぁ後輩」
茜は太一郎の表情と声に驚いた。
それは去年、茜を殴り、組み伏せたときと同じであった。北脇もそう感じたのだろう。ひと言もなく、うつむいたまま震えている。
太一郎は北脇から手を離すと、今度は茜を見た。
「帰るぞ。来い」
同時に太一郎は茜の手首を掴み、強引に引っ張ったのだった。
「馬鹿なガキはお前だろうが、北脇」
「なんだと? 一発でも殴ってみろよ、すぐに警察に駆け込んで」
「自首でもすんのか?」
「何?」
「お前が茜の携帯にかけた電話、全部録音してたらどうなると思う? 茜が警察に行き、お前にレイプされそうになったと訴えたら?」
「そ、そんなこと……その女も承知で……第一、お前の過去を俺が警察で話したら……」
北脇の声が震え始めたとき、太一郎は肘で彼の喉元をグッと押さえた。
「いいぜ。俺にはもう失くすものはねぇんだ。裁判沙汰やマスコミの餌食になった所で、トイレ掃除の仕事くらいはできるさ。ムショで働くのもそう変わんねぇだろ。お前も仲よく一緒に堕ちようぜ。なぁ後輩」
茜は太一郎の表情と声に驚いた。
それは去年、茜を殴り、組み伏せたときと同じであった。北脇もそう感じたのだろう。ひと言もなく、うつむいたまま震えている。
太一郎は北脇から手を離すと、今度は茜を見た。
「帰るぞ。来い」
同時に太一郎は茜の手首を掴み、強引に引っ張ったのだった。