ふたりのあさこ
ーー頭混乱している。

本来、いるべき世界にアサコが居て、異空間に私が居る。

『あまり自分勝手に動かないで?』

「オッケー、任せなさい。さあ、あまり時間ないの。では、1時間後にまたね」

そう言うと私の前ーー鏡の前から消えた。

というか、私が完全に鏡の世界に来てしまったんだ。

辺り一面真っ白で何もない。家具らしいモノがない。

どうやって生活しているんだろ。

適当に歩き回ると、突然ウィーンと機械音がして、テーブルなどが表れた。

「うわっ びっくりしたぁ。かなりハイテクね……」

私がちょっと動く場所に家具が表れる仕組みのようだ。

生活感は全くない。こんな空間でどんな生活を送ってきたか見当もつかない。
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