ふたりのあさこ
「あの……、今何時ですか?」

「えーと……。4時ですよ。どうかしたんですか?」

女性は腕時計見ながら時間を教えてくれた。

同時に心配をしてくれている。

まさか、鏡の中から来ましたなんて言えなくて、友人から合鍵貰ってないから、ちょっと部屋に戻れなくて……と、私はとにかくごまかした。

「すぐ目の前のマンションなんですけど……」

「あら、私もなの。じゃ、管理人に連絡してあげる。何号室?」

一番困る質問をされた。

だって、何階のどこかなんて覚えてるはずもない。
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