ふたりのあさこ
その時だった。聞き覚えのある声がしてきた。

『……コ、アサコ、ここよ』

私はもう一度、鏡の前に立つ。

鏡を見ると、そこには亜沙子が居た。

「うそ? どうして?」

私は事情を飲み込めていない。

だって、1時間だけの約束だったし、もう無理って思ってたから。

『何をぼーっとしてるの?』

「え、だって、とっくに約束の1時間は経ってるじゃない…」

私はポツリ話した。
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