ふたりのあさこ
『もう…私の美声を忘れたの? なんてね。亜沙子は、私の世界に来てどう思った?』

いつになく真剣な顔で、私に聞いてきた。

「いきなりどうしたの?」

私はわけわからないという顔をする。

『私ね、もう少しだけそっちの世界に行きたい……。そして、あなたを私好みに変えたいの……。ダメかな?』

--ちょっと待って? 私をあなた好みにしたい?

「私は今のままで充分だよ?」

私は自分に言い聞かせる。
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