ふたりのあさこ
「言いたい事はわかるわ。でも、私なりに仲のいい同僚だっているし、友人もいるの。もちろん、アサコのような女性だったらさぞ、男性にもてるだろうなとは思う。恋愛だってしたいもの」

『今すぐに答えを出してとか言わないわ。ね、週末の2日だけでもいいから、お互いの世界でそれぞれ過ごすってのはどう?』

ここぞとばかりにアサコは提案してきた。

「ちょっと考えさせて。今週末には返事させてほしいの」

私はとりあえず、頭の整理をしたかった。

『わかったわ。今週の土曜日にまた改めてここに来るから。それまで考えておいて』

そう言うとアサコは鏡の中へ戻ったのか、鏡には私の姿だけが写しだされていた。
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