深淵に棲む魚
近くの川に足を浸した途端、醜い化けもんの姿へ戻る。
そのまま川を下り、湖の底へ底へと泳ぎ進んだ。
暗く静かな水底で、衰弱しきった身体を岩陰に隠し目を閉じる。
銀色の鱗が再び生えるまで私は深い眠りにつくのだ。
鱗が生えそろった時、私の記憶は真っ新になっている。
私は過去へと遡り、また同じ時間を今日まで繰り返す。
永遠に続く時の流れ。
人ならば、その流れの中で生き死にを繰り返すことが出来る。
けれど私は、世の理の歯車から取り残された存在。
化けもんなのだ。
私は私でいる限り、時の淀みに嵌ったまま永遠に抜け出せない。