深淵に棲む魚
中身はそれなりになっている。
何故ならここは、老朽化で廃墟になったのではなく、ある事件が引き金となって失われたからだ。
エントランスを抜ける。
すぐに十三レーンのボウリング場がある。
色鮮やかな鉄のボールたちが薄っすら埃を被りながら並んでいた。
反対側には卓球台が二つと、ちょっとしたゲームセンターがある。
そこを通り過ぎるとすぐ脇に、上下に伸びる階段があった。
地下へと階段を下りかけて、やはり、上に登ることにした。
二階から四階までのフロアは宿泊施設になっていて、五階は宴会場が一つと、プール付きのジムがある。確か六階は展望大浴場だった。
私は一気に階段を上り五階へと進んだ。