深淵に棲む魚


 目を閉じると、あの日の音楽が聞こえた。



 ジャラン、ジャンジャカ、ジャラン



 大きな手が掻き鳴らす異国の音楽。

 初めて聞くのに、魂が震える気がした。

 それは、小太りの三味線男が弾いていたものと同じ曲だった。





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