深淵に棲む魚


 烏帽子の男は川で見たまま、障子を開いた桟にゆるりと腰かけていた。


 男の手の中の三味線を見た途端、弾いて欲しいと思った。

 すっと手を挙げて、男の三味線を指差した。


(それを、弾いて)





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