深淵に棲む魚


「今のあなたは歯車から逸脱した存在、つまり、にんぎょなのですよ」




 私の口から、ひゅうと空気が漏れた。

 驚愕と恐怖が入り乱れる感情だった。

 夢の中で感じていた恐ろしさそのものだった。





 私は、人が恐れる「にんぎょ」の正体に驚愕し、自分が「化けもん」だった事実に恐怖した。


 その瞬間、身体の下部に違和感を覚え恐る恐る着物の裾を捲った。







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